上司との結婚は致しかねます
「昨日のことはちゃんと覚えてる。」
頭痛がするのか、頭を押さえながら俊哉さんは言った。
私はその目を探るように見つめた。
「なんだ。藤花の方が覚えてないのか。」
ククッと笑われて憎らしい。
「なんとなくは覚えてます。」
「なんとなくじゃ困るよ。
昨日、可愛かったのに。」
「……言いがかりつけないでください。」
「言いがかりってなんだよ。」
また「フッ」と笑った俊哉さんは私の頬に手を当てる。
隠そうとしない色気に頬を熱くさせる。
私はそれを誤魔化すように声をかけた。