上司との結婚は致しかねます

「それより、顔が浮腫んでます。
 マッサージするので背もたれにもたれられます?
 目をつぶって上を向いてください。」

 驚いたような顔をしながらも素直に上を向いた。

 後ろに回り込んで珍しく彼を見下ろす形で覆い被さるように立つ。

 せっかくの整った顔が浮腫んではいるけれど、目を閉じた顔はやっぱり美しくて嫌になる。
 これは人形だと思うようにして、念入りにマッサージを始めた。

 肩から首へ顔は特に念入りに。
 それから頭へ。

「ん……気持ちいい。寝てしまいそうだ。」

「まだ、時間ありますけど、今日は平日ですし、お風呂も入ってませんよね?
 うたた寝する時間はないんじゃないですか?」

「うん。そうだね……。」

「はい。おしまいです。
 あとはゆっくり湯船に浸かってください。」


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