上司との結婚は致しかねます
「内田さん。ちょっと。」
上坂くんにコソッと声をかけられて、その場から離れ休憩室へと足を向けた。
「話題の張本人がぼんやりあんなところにいたら危ないよ。」
「うん……。私は部長達のところへ行かなくて良かったのかな。」
「行く必要ないんじゃない?
行ったら入江さんに何を言われるか分からないよ?」
そうだよね。
あんなに高宮課長を想っていそうな入江さんはきっと私なんて見たくもないだろうな。
「どうして内田さんの方が傷ついた顔してるのさ。」
上坂くんが優しく微笑んで、その優しさに涙があふれそうになる。
「高宮課長といるとさ。
きっとまだまだ大変だよ?
高宮ファンなんて入江さんだけじゃないし。
その度に傷ついてたら……。」
そうだよね。
それなのに私は彼の隣で笑っていられるのかな。
「辛いならやめちゃいなよ。
なんなら俺と付き合わない?
俺ならきっと内田さんにちょうどいいよ。」
上坂くんなら?
同じ歳で人懐っこくて、きっと私と同じ目線で悩んでくれそうだ。