上司との結婚は致しかねます

「心配は杞憂でした。
 みなさん、高宮課長のファンですけど、その、高宮課長が私を狙っているのはバレバレだったみたいです。」

 恥ずかしそうに言う藤花に今度は俺が呆れる番だった。

「分かりやすくアプローチしてたからな。
 鬼上司の頃から。」

「だって、その頃は高宮課長に血が通ってることを疑っていたくらいで……。」

「酷い言われようだな。」

 呆れるを通り越して笑えてくる。

 上司と部下だし、当時の藤花は恋人がいた。
 だから同僚以上の行為にならないように注意はしていたつもりだが……。

 今、思えばバレバレに決まってる。
 飲み会の後は送ろうかと声をかけたし、何かと藤花を気にかけていた。

 自分自身も気づいていなかった好意は周りにバレバレだったのだ。


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