上司との結婚は致しかねます

「みなさん、私が元カレと婚約してる頃から高宮課長の叶わぬ恋心を応援してくださっていたみたいで、、って自分で言うのはお門違いじゃないですか?」

「いいよ。概ね間違ってない。
 女ってスゲーは。見破られてたんだな。」

 心配は取り越し苦労だったことが分かって溜息が漏れた。

「だから、色んな人に祝福されて………。
 高宮課長って皆さんに愛されてるんですね。」

 その言葉の方がお門違いだ。
 俺は………。

「藤花からの愛だけあれば十分だ。」

 やっと抱き締められる心持ちになって手を伸ばす。
 藤花は嬉しそうに俺の胸元に顔をうずめた。

「俊哉さん。大好きです。」

「あぁ。うん。」

「フフッ。困ってる俊哉さん久しぶりに見ました。」

「うるさい。」

「大好きなので、お昼は同期の子達と食べてもいいですよね?」

 どんなお伺いだよ……と呆れつつ「俺も久しぶりに伊織と食べたいわ」と本音を口にする。

「やっぱりらしくなかったんですね。」

 そう言って笑う藤花をもう一度抱き締めた。

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