上司との結婚は致しかねます
次の日になると俊哉さんの運転で実家へと帰省する。
行きにお父さんが好きなお饅頭のお土産を買って言葉少なに向かう。
俊哉さんも緊張しているのかもしれないけど、私も緊張していた。
罵倒されたら庇わなくちゃ。
俊哉さんは何も悪くない。
救ってくれた人だって。
今日、恋人と一緒に挨拶に行きたい旨はお母さんに電話して伝えてある。
お母さんは拍子抜けするくらい喜んでくれた。
お母さんよりも、お父さんの方が厳しいから、きっとお父さんには酷いことを言われると思う。
ドキドキしながら家の敷居をまたいだ。
田舎の家は無駄に土地だけは広く、続き間の和室に通されて緊張が高まる。
そういえば前の彼は結婚が決まってもなかなか挨拶に行ってくれなくて、きちんと挨拶をしないまま、結婚自体が流れてしまった。
覚悟がなかったんだよね。
きっとお互いに。