上司との結婚は致しかねます

「ごめんな。
 結果的には藤花を不安にさせた。
 先週も藤花のご両親に会いに行っていた。」

 そっか。
 大事なところって私の実家だったんだ。

 不安は全て取り越し苦労で、でもそのお陰で不安にはなったけど、どれだけ俊哉さんが自分にとって大切かよく分かった気がする。

「で、このまま俺の実家にも挨拶に行かないか?」

「今、この後ですか?」

「うちの親には特に何も言ってないからね。
 驚くだろうけど、俺も安心させたい思いはある。」

 同じ婚約破棄された側。
 私は破棄されてすぐだから、すぐ過ぎて大丈夫かって心配をされたと思う。

 俊哉さんの方は、違った理由で心配しているかもしれない。

「言っておいてくださいよ。
 涙でぐちゃぐちゃです。」

「いいよ。それでも可愛いから。」

「嘘ばっかり。」
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