上司との結婚は致しかねます

 ドライヤーを持っていた俊哉さんに乾かしてもらって、それから優しく手を引かれる。

 優しくキスをして、私をベッドへ座らせた。

「受け取ってもらえる?」

 小さな箱を手渡されて目を見開いた。

「誕生日おめでとう藤花。」

 頬を涙が伝って何度も頷く。
 箱を開けると可愛らしいデザインの指輪にダイヤがついていた。

「普段使いが出来る方がいいって店員さんに言われて、どうかな。」

「すごく、可愛いです。」

「婚姻届、藤花が嫌じゃなかったら藤花の誕生日に出さない?
 ベタ過ぎる?」

「そんなこと、ないです。
 知ってたなんてずるい。」

 私は誕生日知らなくて、俊哉さんの誕生日に一悶着を起こしてしまった。
 それなのに、俊哉さんは指輪まで用意してくれて……。



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