上司との結婚は致しかねます

「藤の花が綺麗に咲いた日だったんだろうね。」

「はい。その年は少し遅めの開花だったらしいのですが、、。
 どうして知って……。」

「そりゃ好きな子の名前ですから花言葉とか、花の季節とか調べてもおかしくないでしょ。」

 急に乙女な発言をされて面食らう。

「すみませんでした!
 全くもって乙女とか恋心が足りなくて。」

「喧嘩したいわけじゃないんだ。」

 俊哉さんの穏やかな声に反省して「ごめんなさい」と消え入る声で謝った。

「藤の花言葉は藤花にピッタリだった。」

「なんでした?」

 跳ねっ返りとか、捻くれ者とか……?

 変な想像をしているととろけるような顔で言われた。

「優しさだって。」

「優しさって………。」

「優しいよ。藤花は。
 人が傷ついていると見ているだけで自分も傷ついて。」

「弱い、、だけです。」

「いいや。卑下しないで。
 優しいところ、好きなんだから。」

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