上司との結婚は致しかねます
「どうしたの?藤花。」
母がいち早く異変に気付いて声をかけられた。
「ちょっと太っちゃって。」
へへへっと笑う私を母はまじまじと眺める。
「藤花……もしかして………。」
耳元に顔を近づけたお母さんの言葉に驚愕する。
「藤花。赤ちゃんは?」
赤ちゃん……赤ちゃん?
そう言えば仕事が忙しくて気にしてなかったけど、前回生理っていつ……。
私の沈黙をそうだと早合点した母が「お父さん!お父さん!!」と騒ぎ始めた。
「待って。まだ違うかもしれないじゃない!!」
そう言ってももう手遅れでその場にいた両家の両親にそれに俊哉さんにまで知られてしまった。
「そうか。そうなのか。」
嬉しそうに目を丸くされて、俊哉さんにまで訂正するのがつらい。
「だからまだ、分からなくて。」
「うん。いや、可能性があるってことか。」
そこからは式場での打ち合わせはお開きになり、親にはハッキリしたら連絡すると帰ってもらった。