上司との結婚は致しかねます
「ギリギリまで働いてもらって悪いねぇ。」
部長にお会いして頭を下げる。
「いえ。こちらこそ調整していただいてありがたいです。」
「俊哉くんが君が居なくなると心配なんだよ。」
「大丈夫ですよ。
上坂くんも一人前ですから。」
めきめきと頭角を現してきた上坂くんが抜擢されて私の後任になった。
出来る限り早めに戻るつもりだけど、案外、俊哉さんと上坂くんはいいコンビかもしれない。
上坂くんは顔を合わせる度に憎まれ口をきくんだけど。
「藤花さん、早く戻ってきてくださいよ。
俺、おじさんの専属とかないっすわ。」
「おい。大口たたくくらいだ。
女の子を専属にする目処でも立ったのか?」
俊哉さんがいないと思って話していた上坂くんは目を白黒させる。
「そ、そんなことないですよ。
ヤダなぁ。俊哉課長の補佐なんて光栄です。」
調子がいいんだから。