上司との結婚は致しかねます

「結菜はパパと結婚するもんな〜。」

 ノリノリの質問を力一杯、頭を左右に振られて伊織さんはしょんぼりしている。

 伊織さんを役職付けで呼ぶのをやめた。
 確か、今は次長?部長?
 変わる度に把握できなくて、その上、ご本人にも他人行儀だと言われて今では伊織さんだ。

 その伊織さんをしょんぼりさせた結菜ちゃんはさすが女の子で、この頃の女の子ってどうしてこんなに、おしゃまさんなんだろうと苦笑する。

「結菜はね〜。」

 期待の眼差しで見つめる直哉に吹き出しそうになりつつ、結菜ちゃんの選んだ人に度肝を抜かれた。

「俊哉パパ!」

「え!」
「は?」
「嘘!」
「絶対にダメだ!!!」

 4人の声が揃って結菜ちゃんはクスクス笑う。

「だってパパと直ちゃんはオトナのミリョクが足りないんだもん。」

 お、オトナですか。

 直哉はまぁいいとして、直哉と同列にされた上にオトナのミリョクがないと言われ伊織さんはますますしょぼくれて肩を落とした。

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