上司との結婚は致しかねます
もう、その微笑み、何度見ても心臓発作を起こしてもおかしくないくらいの破壊力だから、真っ直ぐに見つめないで。
視線を逸らすとクイっと顔を元に戻された。
心臓が痛い。
「俺、ここまで一緒にいたいって思うような、女に溺れる人間だなんて自分でも驚いてる。」
私だって驚きです。
あの、高宮課長がこんなにデレるなんて。
「この後、買い物にでも付き合おうかと思ってたけど、早く帰って本格的にイチャイチャしたいな。」
「ふぇ?」
イチャイチャに本格的も何もあるんですか。
私の疑問は彼の甘い視線に為すすべなく惨敗する。
「でもな。
あんなことになっておいてなんだけど。」
耳元で囁くように続きを言われて私は悶絶死しそうになった。
「初めては特別にしてあげたいんだ。」
初めてってどう考えてもアレだよね。
「そうだ。予定を繰り上げして。
うん。そうしよう。」
勝手に納得している彼が頬にキスを寄せた。
「そうと決まれば急ごう。」
何が決まったのか分からないまま、私は彼にくっついて食事をした。
味なんて分からなくて、恥ずかしくて。
けれどすごく幸せだった。