上司との結婚は致しかねます

 抱きしめようと腕を伸ばす彼の腕を振り払って、彼から距離を取る。

「誕生日なのにおめでとうも言わせてもらえないなんて。」

「それは、、。
 自分から言うなんて芸当、俺には出来ないよ。」

 うなだれる俊哉さんが意外で彼に視線を移す。
 彼は自虐的に笑って理由を説明した。

「ただでさえ、年が離れてるのに、また1つ離れる誕生日なんて嬉しくもなんともない。
 それでも、、誕生日に彼女と過ごしたいって密かに思うくらい許されるだろ?」

 まさか、そんなことを気にしているとは思わなくて思わず質問した。

「何歳に……なられたんでしたっけ?」

「おいおい。誕生日どころか歳も知らなかったのかよ。
 地味に凹むんだけど。」

 うなだれる俊哉さんがおかしくてクスクス笑う。

「笑うなよ。
 どうせ俺は鬼上司で、俺になんて内田も藤花も興味ないよなー。」

 内田も藤花も同一人物ですけどね。

「高宮課長はまだ怖いですけど。」

「まだ怖いのかよ」とこぼす彼に付け加えた。

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