上司との結婚は致しかねます

「俊哉さんのこと好きになったので、俊哉さんがいくつだとか、あんまり興味がなかったというか……。
 だからって誕生日を知らなかった自分にはガッカリしています。」

「いや。いいよ。
 なんか、嬉しいこと聞けたし。」

「嬉しい……こと?」

 機嫌が良くなった彼が私の手を取って部屋へといざなう。

「なんですか?嬉しいことって。」

 振り返った彼が意味深に口を開いた。

「俺がいくつだろうと俺だから好きだってことだろ?」

「えっと、まぁ、そうです。」

 俊哉さんは私を抱き竦めると耳元で囁いた。

「それにプレゼントとしてもらえるなら、もらいたいものあるし。」

「な、なんですか?」

 耳を押さえながら聞くと苦笑した俊哉さんが軽いキスをした。

「いや、また今度のお楽しみに取っておく。
 邪魔が入ったな。
 今日は昼寝にしておこう。」

 私を抱きかかえてベッドへと横になった。
 私へ触れる手は先ほどの熱は持っていないように感じた。

< 36 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop