上司との結婚は致しかねます
「あの、今日はもう、しないってことですか?」
ブッと吹き出した彼が再び苦笑する。
「なんて質問してるか分かってる?」
「それは……。」
「さっきまで震えてた子羊ちゃんが強がるなよ。
ほら、狼は退散したから俺の腕の中で安心してお休み。」
「でも、だって。」
すごく不安だ。
目の前で見せてくれたのに、不安になる。
私以外に肌を重ねた人。
美咲さん以外にいるかもしれない。
それが普通だと思う。
彼は既婚者と思われていてもモテるくらいだ。
もっと若い頃は相当モテていてもおかしくない。
美咲さんのことももちろん不安だった。
けれど、それだけじゃない。
他にも彼の全てを知る人がいると思うと気が狂いそうなくらい辛くなる。
私ってこんなに嫉妬深かった?
元彼が浮気したって知っても改心するって言った彼と付き合っていられたのに。