上司との結婚は致しかねます

「何を考えてる?」

 私を包み込んで寄り添う俊哉さんを見上げて私からキスをした。
 下手くそなキスはゴチンと頭もぶつけて、ただ痛いだけ。

「……ッイテッ。下手くそ。」

「どうせ………。」

 また目が潤みそうになる私へ優しい声がかけられる。

「もっとゆっくり近づいておいで。」

 もう一度、見上げると今度は俊哉さんの顔が近づいてきた。
 優しく唇が触れ合う。

「その顔、反則。
 化粧してない顔、すごくそそるから他の奴に見せるなよ。
 というより見せるような状況になるな。」

 嘘……。
 すっぴんなんて見てられるかって思われてるのかと……。

「ほら。キス。してみて。」

 優しく促されておずおずと彼に顔を近づけた。

 軽く触れて、それだけなのにものすごく恥ずかしくて唇が震える。

「うわ。まず……。俺、耐えられるかな。」

 ボソボソ言う俊哉さんに私は切なくなってお伺いを立てた。

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