上司との結婚は致しかねます

「藤花は資料作りを頼む。」

「え……資料って………。」

 作った資料をダメ出しされて作り方をイチから勉強し直せって注意されたくらいなのに。

「本当、高宮課長、ひどいですよ。
 藤花ちゃんの資料、すごく見やすいのに、他の人に藤花ちゃんを取られるのが嫌でダメ社員のレッテルを貼ってたのよ?」

「え……。」

 藤花ちゃんと呼んでくれたのは何度目かの会議で私の意見に代案を出してくれた先輩。
 ものすごく大人っぽくて高宮課長と並んでいると妬けてしまうくらいの女性。

 藤花ちゃんなんて呼ばれる間柄じゃないのも含めて、色んなことに頭は大混乱になる。

「だからそれもやめる。
 やめたいから俺らの仲を公言したんだ。」

 それってどういう………。

「誰も高宮課長の可愛いお姫様を取ったりしませんよ。
 命、欲しいっすから、俺らも。」

 両手をヒラヒラさせて戯ける小塚さんに高宮課長は再び食ってかかっている。
 どうやら名コンビのようだ。


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