上司との結婚は致しかねます

 そんな2人をよそに藤花ちゃんと呼んでくれた先輩が私へ耳打ちする。

「私のことは沙羅って呼んで。
 前から藤花ちゃんと仲良くなってみたかったけど、少し前の高宮課長って藤花ちゃんに近づく人、全てを警戒してたから。」

 肩を竦める沙羅さんに信じられない気持ちでまじまじと見つめる。

「高宮課長はあぁ言うけど、少なくともプロジェクトチームのみんなは薄々感じてて、やっと白状したかって雰囲気よ。
 これで高宮課長の態度がますます柔らかくなるなら願っても無いってところ。」

「え、だって、高宮課長に憧れてる人もいらっしゃいますよね?」

 私の質問に目を丸くして、それからニコニコと笑った。
 綺麗な美人さんだと思っていたら、笑うと可愛らしい……。

 沙羅さんが高宮課長に憧れてたって言われたら勝てる気がしないよ。

「もー。藤花ちゃん可愛い!
 既婚者と思ってた高宮課長に憧れてる人ってみんな上司として憧れてるだけだよ。
 手の届かないアイドルっていうとちょっと違うかな。」

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