上司との結婚は致しかねます
私はフルフルと首を横に振った。
「本当、その通りです。
私にとっては沙羅さんもアイドル並みです。」
「もー!本当、可愛い!!
食べちゃいたい。」
「おい。こら。石川も席につけ。」
「はーい。」
注意されて私にだけ見えるように沙羅さんは小さく舌を出した。
そして去り際にもう一度耳打ちした。
「私、好きな人いるし、アイドルに本気な人なんて誰もいないから安心して。」
本当かな。
どうしていいのか分からずに隣に座ろうとしている高宮課長を仰ぎ見る。
「ん?」と小首を傾げた姿が完全に俊哉さんで、これは慣れるまでどうしようか……と赤くなる顔を俯かせた。