上司との結婚は致しかねます
「いいえ。高宮課長も私と同じなんだなぁって思ったら安心して、なんだか愛おしいです。
私の方こそ、高宮課長が綺麗な女性と話すたびに嫌な気持ちになってました。」
「……そう。なんか、ニヤけるわ。」
「はい。私もニヤけちゃいそうです。」
「ハッ。俺達、馬鹿だろ。」
「えぇ。馬鹿みたいです。」
自分の気持ちを言い合った後の車内は明るかった。
まさか自分が高宮課長とお付き合いをして、笑い合う日が来るだなんて思ってもみなかった。
今日はアンケートに基づいてブランドのどのラインを出店してもらうのか。
様々なブランドラインを打ち出している企業との打ち合わせだ。
「前から思っていたんですけど。」
「あぁ。」
「我が社って結婚相談所と似てません?」
「は?」
こんな考え、前なら絶対に高宮課長になんて言えなかった。
「出店して欲しい会社と出店したい会社の希望を聞いて、両社に一番いい出会いを取り持つんです。」
「あぁ。なるほどな。
一期一会だ。俺の好きな言葉。」
一期一会かぁ。
私もこの出会いを大切にしたい。
俊哉さんとだったら、この先もずっと……。