上司との結婚は致しかねます
その後、どうやって仕事をこなしたのか、どうやって帰って来たのか。
全く思い出せない。
どうしてか、高宮課長も一緒に帰宅してご飯を作ってくれている。
それでも頑なに私は言葉を発しない。
会社の携帯に何かメールが届いたようで、外回りに出るようになると持たされる慣れない携帯を手にした。
それを見て手を滑らせるように携帯を落としてしまった。
「おいっ。大丈夫か?どうした。」
「もう。ヤダ。
もう、高宮課長と結婚なんて出来ない。」
「何があった。どうしてそうなるんだよ。」
駆け寄って私を揺さぶる彼の腕を振り払って私は与えられた部屋へと逃げ込む。
「おい!藤花!!」
彼の声が聞こえても私は振り返らなかった。