上司との結婚は致しかねます

「手伝います。着替えちゃいましょう。」

「ハハッ。エッチ〜。」

「何、言ってるんですか。
 小学生じゃないんですから。
 着替えれます?」

「ん……藤花やって。」

 シャツを捲って、直視しないようにタオルで拭く。

「脱ぐから上へ引っ張ってくれる?」

 半分だけ捲り上げた彼に言われて、シャツを上へと押し上げる。
 シャツを脱ぐだけで辛そうに肩で息をしているのがなんだか色っぽく見えて不謹慎この上ない。

「下も脱ぎたい。全部。」

「そ、それはご自分でやってもらえます!?」

 私が顔を背けるとクククッと笑い声がした。

「もう。実はすっかり体調いいんじゃないですか?」

 喧嘩の最中だったと思い出してムッと頬を膨らます。
 その顔が彼から見えたみたいで笑われた。

「フッ。そんな顔しても可愛いから無理だよ。」

 何が無理なんだ。何が。
 私は心の中でツッコミを入れて彼へ着替えを投げるように渡した。

「着替えさせてくれないのか?」

「それだけ減らず口がたたければご自分で着替えれると思います。」

「ハハッ。バレたか。」

 まだ肩で息をするものの、元気そうな彼に安堵する。


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