上司との結婚は致しかねます
うどんを運んでくれた藤花が当たり前のように斜め前に座ろうとする。
それは以前、前に座るなと言ったせいだ。
目の前に座ると気になって食べられないって理由だとこの子は知らないんだろうな。
俺は駄々っ子のように隣の席をたたいてみせた。
「隣じゃなきゃ食べない。」
目を見開いた藤花はしぶしぶという感じで俺の隣へ移動した。
その体に腕を巻きつける。
「と、俊哉さん!これじゃ食べられません。
せっかく熱々なんですから、早く食べてください。」
「いい。俺、猫舌だし。」
「嘘、ヤダ。可愛い。」
花のように笑う藤花を抱き寄せる。
「お、落ちます!
本格的に椅子から落ちますから!」
クスクス笑うとムスッとした顔の藤花が驚くことを口にする。