上司との結婚は致しかねます

「次長に言ったこと本当ですか?
 私は居てくれるだけでいいって。」

「な……。それを、誰から聞いた。」

「次長、ご本人です。
 高宮課長がお休みされた日に部長と次長に呼び出されて、高宮課長の体調はいいのか聞かれました。
 私、なんと答えていいのか分からなくて黙ってましたけど……。」

「ったく、あのジジイ達………。」

「なんでしょうね。
 上司を悪く言うのはもはや会社の風習なんでしょうか。
 ジジイだの、鬼だの、ロボットだの。」

 クスクス笑っている藤花の頭を小突く。

「最後の2つは俺のことだろうが。」

「フフッ。バレちゃいました?」

「ったく。あの食えないジジイ達が、俺へ見合い話を持ってきたから。」

「はい?」

「しかもキタムラハナブランドの孫との。」

 つまりそれは北村美咲だ。

 本当に食えない上司だし、美咲も……厄介な奴だ。

 想像通り、藤花は動揺している。

 だから、、話したくなかった。
 それでも隠すと碌なことがないし、藤花には過去は別にしても、現在進行形で俺達に関わることは話しておきたい。


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