上司との結婚は致しかねます

「俺は、、行かなきゃいけないだろう。
 藤花にも同行を頼みたかったが、また嫌な思いをさせそうだから無理強いは出来ない。
 小塚達との飲み会に行くと言うのなら、俺に止める権利もない。」

 そう言われたメールは次長からだった。

 キタムラハナから会食の要望があったこと。
 前回のこともあるから孫娘さんが同席しそうなこと。
 取引先であるキタムラハナからの要望は断れないことが書かれていた。

 前回のこと、というのは見合い話を断ったことだと思われる。

 つまり会社経由で元カノである美咲さんに飲みに誘われて、それに行くと言うのだ。

 私だって分かってる。
 仕事上の付き合いで、私情を挟んで断れないことくらい。

 でも、向こうは関係なく私情を挟んできているのに……。

 その上、私への飲み会の誘いを止めない上に、元カノとの飲みの席に来なくてもいいと言う。

 それで、素直になれなくて「では、お言葉に甘えて飲みに行ってきます」とマンションを出て来てしまった。

 ブラブラとウィンドウショッピングをしつつ、お昼は外で済ませた。
 全く楽しめないし、やけくそで食べるご飯も美味しくない。
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