上司との結婚は致しかねます

 予約してくれてあったみたいで、席は半個室。

 周りに気兼ねなくはしゃげそうな感じで雰囲気もいい。

 ほどなくして上坂くんと小塚さんが来て、それぞれ好きな飲み物を注文する。

「お疲れ〜!」

 みんなで乾杯するとクーッと飲んだ小塚さんが「あーうまい」と満面の笑みをこぼした。

 久しぶりの飲み会の雰囲気に自然と心も弾む。

 来て、良かった。
 彼についていくのも地獄。
 1人待つのも地獄だろうから。

「ねぇ。内田さんって彼氏いないの?」

「え?え?」

 突然の質問に戸惑う。

 言っていいのかな。
 彼氏がいることはいいよね。

 と、いうより彼氏って、俊哉さんが私の彼氏って!!

 あたふたする私をよそに小塚さんは小さな声でつっこんだ。

「分かってて聞くなよ。
 相変わらずだな上坂は。」

「だって隠してるってことはまだ見込みありでしょ?
 たまに悩んでるみたいだし。」

 悩んでる……。
 それは確かにそうなんだけど。


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