上司との結婚は致しかねます
「よろしければ、お2人で懐石料理を食べていってください。
どうせ会社の経費で落としますし、迷惑料だと思って。」
「迷惑とはなんだー!迷惑とはー!」とすっかり調子が出てきたような美咲さんが楽しそうにつっこんで、部屋を楽しそうに走り回っている。
天真爛漫というより……お酒、入っていないんですよね!?
と、少々心配になる。
「アレは気にしないでいいので、どうぞお好きに。」
ご令嬢を『アレ』呼ばわりする大津さんは何者なんだろうと驚愕しつつ、一番いいんじゃないかと思う提案をした。
「あ、あの。
よろしければ大津さんと、その、北村さんが食べて行ってください。
私達は帰りますので、是非のんびりされていってください。」
「いや、でも………。」
私達を引き止めようとする大津さんの手をすり抜け、状況が飲み込めていない俊哉さんの手を引く。
美咲さんは気持ちを切り替えたのか「私の酒が飲めないのかー!」と既に大津さんに絡み酒をしていた。