悪魔の花嫁
「お化け屋敷ですってね。楽しみだわ、そう思いません?露子さん。」
礼子である。
最近、礼子は前にも増して、露子につきまとうようになった。
そういえばお昼休みであった。
露子もお弁当を鞄から取り出す。
礼子はランチボックスを持ってきて勝手に露子の机の上で広げ始めた。
前の席から拝借した椅子に女王様のように腰掛けて足を組む。
「楽しみなんかじゃないわ。礼子さん。お化け屋敷なんて大掛かりだし、準備が大変じゃない。」
礼子を内心苦手に思っている露子ではあるが、邪見に扱う事も出来ず、一緒に昼食を取る仲となってしまったわけである。
「あら、あなたのお化けの恰好が、私見てみたいのよ。きっと壮絶に似合うわ、だってその腰まである長い黒髪、真っ白な肌。井戸の底から這い出てくる幽霊なんかぴったりじゃない。」
礼子はニコニコしながらランチボックスを広げてサンドイッチを食べ始めた。
カラフルで美味しそうだ。
手が凝っているのが見ただけでわかる。
露子も自分のお弁当を開けて食べる。
礼子はサンドイッチを上品に食べながら露子のお弁当を見ている。
「何?」
露子は睨め付ける。
「あなた、お母様もお父様もいらっしゃらないのに、そのお弁当はいつもどうしているの?」
礼子に悪気が無いのは露子にも段々分かってきた。
が、なんとなく不愉快な気持ちになるのは何故だろう。
露子はだれかを積極的に嫌いになることはないが、なんとなくこの礼子とは馬が合わないんじゃないかしらと思ってはいる。
「自分で作っているのよ。だれも作ってくれないもの。」
露子は言いながらカボチャの煮付けに箸を伸ばす。
礼子のランチボックスに比べれば、地味なお弁当だ。
「まあ、すごいわ。露子さん料理もできるなんて、大和撫子って貴方みたいな人の事を言うのね。私のランチはいつも家政婦のばあやが作ってくれるのよ。私は料理なんて、とてもできないもの。」
家政婦という単語がするりと出るあたり、礼子も資産家のお穣様というわけだ。
確かに霜月女学院は入学金から制服から、なにやらお金のかかる学校である。
だからといって、お嬢様だらけというわけでもないと思うのだが。
「それにしても露子さん、すてきなブレスレットね。華奢な作りだけど、細工が細かくて綺麗だわ。きっと真ん中の石はダイヤモンドね。輝きが違うもの。」
露子はめざとい礼子の視線から右手を隠す。
「私、物を見る目はあるのよ。小さいころから本物だけを見て育ったのだから。」
礼子は自慢気だ。
「ねえ、露子さん、あなた、もしかしてパトロンかなにかいらっしゃるの?」
露子は彼女のあまりの言い様にカボチャを吹き出すところであった。
「なんてこと言うのよ、そんな訳ないでしょう。」
礼子である。
最近、礼子は前にも増して、露子につきまとうようになった。
そういえばお昼休みであった。
露子もお弁当を鞄から取り出す。
礼子はランチボックスを持ってきて勝手に露子の机の上で広げ始めた。
前の席から拝借した椅子に女王様のように腰掛けて足を組む。
「楽しみなんかじゃないわ。礼子さん。お化け屋敷なんて大掛かりだし、準備が大変じゃない。」
礼子を内心苦手に思っている露子ではあるが、邪見に扱う事も出来ず、一緒に昼食を取る仲となってしまったわけである。
「あら、あなたのお化けの恰好が、私見てみたいのよ。きっと壮絶に似合うわ、だってその腰まである長い黒髪、真っ白な肌。井戸の底から這い出てくる幽霊なんかぴったりじゃない。」
礼子はニコニコしながらランチボックスを広げてサンドイッチを食べ始めた。
カラフルで美味しそうだ。
手が凝っているのが見ただけでわかる。
露子も自分のお弁当を開けて食べる。
礼子はサンドイッチを上品に食べながら露子のお弁当を見ている。
「何?」
露子は睨め付ける。
「あなた、お母様もお父様もいらっしゃらないのに、そのお弁当はいつもどうしているの?」
礼子に悪気が無いのは露子にも段々分かってきた。
が、なんとなく不愉快な気持ちになるのは何故だろう。
露子はだれかを積極的に嫌いになることはないが、なんとなくこの礼子とは馬が合わないんじゃないかしらと思ってはいる。
「自分で作っているのよ。だれも作ってくれないもの。」
露子は言いながらカボチャの煮付けに箸を伸ばす。
礼子のランチボックスに比べれば、地味なお弁当だ。
「まあ、すごいわ。露子さん料理もできるなんて、大和撫子って貴方みたいな人の事を言うのね。私のランチはいつも家政婦のばあやが作ってくれるのよ。私は料理なんて、とてもできないもの。」
家政婦という単語がするりと出るあたり、礼子も資産家のお穣様というわけだ。
確かに霜月女学院は入学金から制服から、なにやらお金のかかる学校である。
だからといって、お嬢様だらけというわけでもないと思うのだが。
「それにしても露子さん、すてきなブレスレットね。華奢な作りだけど、細工が細かくて綺麗だわ。きっと真ん中の石はダイヤモンドね。輝きが違うもの。」
露子はめざとい礼子の視線から右手を隠す。
「私、物を見る目はあるのよ。小さいころから本物だけを見て育ったのだから。」
礼子は自慢気だ。
「ねえ、露子さん、あなた、もしかしてパトロンかなにかいらっしゃるの?」
露子は彼女のあまりの言い様にカボチャを吹き出すところであった。
「なんてこと言うのよ、そんな訳ないでしょう。」