犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら
難しいなぁ。
なんて行き詰まっていると、
「はぁ〜あ。」
と隣から盛大なため息が聞こえた。
そんな周りに見えるようにアピールしなくてもいいんじゃない?
と少々冷たい目を向けると、
困ったような顔をした浅香とバッチリ目が合った。
...アンタ。世の中の女がみんなそれで母性本能くすぐられて助けてくれると思ってんでしょ。
思惑がバレバレなだけに、絶対にコイツの思い通りの反応なんてするものか。
そう決めて、私はふいっと自分のパソコンの画面に視線を戻した。
「おい。無視かよ。
冷てぇ同期だなー、まったく。」
とお手上げのように両手をひょっと上に挙げる浅香。
一体、私に何を求めてるって言うんだ。
私が少々不機嫌な顔をしていると、周りからの視線を感じた。
...はいはい、出ました。
浅香の周りから固めてくる卑怯なわざ。
私だって、こんなヤツじゃなきゃ相談にのるけど?
なんて、私の心の声が周りに聞こえるはずもなく...
「なによ。私に聞いたって解決しないわよ?」
なんてかまちょに構ってしまった。