犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら
社内旅行は事件だらけ
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ガタガタと私はバスに揺られている。
あれからというもの、浅香からは『わかった。』とだけ返信が来てそこから私たちは一言も口を聞いていない。
そのまま年は明けてしまって、毎年恒例の社員旅行の日になってしまった。
自分の愚かさにもうため息しか出てこない。
今日もはぁ。と邪念いっぱいの息を吐いて、斜め前の廊下側に座った浅香を見つめた。
同期の高橋くんの話に相槌を打ちながら穏やかな表情を浮かべる浅香を見ながら、そろそろ声が聞きたいな。なんて思ってしまう。
「さぁ!今年もやって参りました、社員旅行!
今年は草津温泉に向かっていまーす!!」
私の、完全に沈んでしまっている気持ちとは裏腹に、毎年課長の仕事であるバスレクの挨拶が始まった。
「去年一年は無事売り上げ上昇を保って、さらにこの前のクリスマスコフレの売上成績では、我が社の商品がトップというなんとも素晴らしい功績でした!
その件に関して改めて、うちの浅香くんの栄光を称えたいと思います!」
そう。浅香考案のクリスマスコフレは異例の大ヒット。
女性が欲しいものを全て詰め込んで、そのわりにかなりのローコストで提供出来ていて素晴らしい、とコスメ業界からかなり注目を集めてた。
実際、私も出来上がった商品を見て驚き、感激したものだ。