犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら
「っていうか、結菜。
明日じゃなかったっけ?新作コスメのプレゼン」
思い出したように美和がそう言って私に視線を向けた。
大丈夫?こんなとこでお酒飲んでて。
という彼女の言いたいことが表情からなんとなく分かるような気がした。
「そー。明日。
でも、自分的に相当いいものだって胸張れるほどのプレゼン内容じゃないの。
浅香のことばっかりだったからね〜。
ほんと、恋愛で仕事とか勉強とか手につかなくなるのってなんで女だけなんだろ〜」
「うわ〜。その言葉染みる〜。
結菜がこんなんなのに明日浅香くんがバシッとプレゼン決めたらちょっとムカつくかも。」
「いや、今回もきっと獲るよ。浅香が。
なんか、今回すごい気合い入ってる感じなんだよね?
パソコンに張り付いてたり、あっちこっち自分の足運んで忙しくしてる感じがするの。」
そう。今までなら、多少周りの社員に冗談ふっかけたり、私を飲みに誘ったり。
結構余裕があったんだけど、最近はいつも真剣な顔をしてパソコンに向かってる。
「やだ〜。それは、結菜が気にし始めたからじゃないの?浅香くんのこと。
今まで見てなかった部分が、見えてきたんじゃない?」