犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら



「うーん。それはないかな?
私、前から仕事相手としては結構意識してたから。前と比べても今回は明らかに気合い入ってるっぽくて。
ま、浅香の発表内容が少々悪かろうが、上からかなり期待されてるし、浅香が選ばれるのはもう目に見えてるけどね?」



「そっかー。じゃあ、どうしても今回はとりたい理由があるとか?」



仕事をとりたい理由か...。
私には見当もつかないけど、浅香には浅香なりに何か考えてることがあるのかな。




「そういえばさ、上から期待されてるってことで思い出したんだけど、うちの会社、福岡に支社つくるって話知ってる?」



浅香の仕事に対しての姿勢を思い出していると、美和がそんなことを言い始めた。



「福岡?
知らない。そんなの初めて聞いた」



「だよね〜。
なんか、智がその福岡支社の立ち上げに上から声がかかったみたいで。
この前、私に話してくれたんだけど。」



「へぇ...。それ、美和なんて答えたの?」



「なんにも答えられなかった。
だって、行って欲しくないもん。数年で帰って来れるとは言ってたけど、私たちのこれからの数年って、女にとっては結構大事な期間じゃない?」



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