犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら




それでもやっぱり好きな人になにかしてあげたいって気持ちは女として当然の気持ちなわけで、私は給湯室に向かった。



薄めが好きな浅香に合わせて、今日はコーヒー豆を基準よりも少し少なめにセットした。
普段はこんなことしないけどね。みんなのコーヒーメーカーだからさ。



そんなことを思いながら浅香のマグカップを棚から取ると、

「お。俺の淹れてくれてんの?」

と後ろから浅香の声がした。



「別に?私のついでだけど?」



とまた私は可愛くないな…なんて思いながらもそんなひねくれた言葉しか出てこない。



「そう?にしては俺のマグカップしかとってねぇし、すげぇコーヒー薄めにセットされてるみたいだけど?」



否定しようと思ってパッと振り返ると、優しそうな目をした浅香と目が合ってしまった。



「わ、私も今日は薄めがいいなって思っただけだし、浅香のマグカップの方が取りやすい位置にあっただけだから。」



苦し紛れの言い訳も、きっと、浅香にはバレてる。

浅香の満足そうな表情を見てそう思った。



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