犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら

なにより、プレゼン中の浅香の生き生きとした表情から、どうしてもこの企画を通したいっていう熱意も感じて、やっぱり凄いなと再確認した。




「お疲れ様。プレゼン、結構よかった」




なんとなく、本人にそう伝えたくてぼそっと聞こえるか聞こえないかくらいで呟くと、浅香は嬉しそうに笑った




「カラー展開がちょっと無理あるかって不安だったけど、案外上も納得しててよかったよ」



「そりゃ、アンタにどれだけ上が期待してると思ってんの」



「ハハ。期待か。
ま、とりあえずこれで商品化が決まればなんでもいいけど。」




「そんなに力入れて、なんかあるの？」




やっぱりこの企画にだけ特別なように感じる。浅香がかなり力を注いでいるのを見て、聞かざるを得なかった。というより、気になって仕方なかった。




「お前にだけは秘密だな」




なんてまたあの余裕そうな表情でニヤッとされてしまって、私はもう何も言えなかった。




『お前にだけは』って。
特別のようで特別に感じない。
今日のハグだって、どんな気持ちでしたのかわかんないし。



なんとなく距離をとられているように感じて、浅香の真意はやっぱり読めなかった。