犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら



「最後の企画?」



「いや、なんか。噂で聞いちゃってね?」



私がはてなマークを浮かべていると、前の柳原さんが
「はいはい。愛華ちゃんのことでしょ!?」とまた不機嫌そうにサラダのキャベツにフォークをぶすっと刺した。



「違うわよ。それは、今回の企画の内容ついてでしょ?
そうじゃなくて。転勤の話。」



転勤...。
最近どこかで転勤の話を聞いたような。と考えてすぐに顔が浮かんだ。


美和だ。この前、青木くんのことで話してたな。とまで思って私はお箸を止めた。


もしかして...。



浅香も?



「転勤?」



何それと言いながら呑気に柳原さんはサラダを食べているけれど、私は気が気じゃなかった。


どうか、白川さんの口から福岡という単語が出ませんようにと願ったけれど、私の願いは虚しく...



「福岡支社の話。知らない?
上から期待されてる精鋭たちに声がかかってるみたい。」



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