犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら

思ったより堪えてる。私。
浅香と離れることに対して、こんなに辛くなるなんて。



久々のなごみやで、久々のゴンさん。
「おー！ご無沙汰だな〜！しかもセットで！」
とゴンさんは喜んでくれたけど、微妙な愛想笑いしか出来なかった。



いつも座ってたあの席は、今ではもう別のお客さんが座っていて、私たちははじめて、カウンターから少し離れたテーブル席に座った。




「お前、ほんとどーしたの？
そんなに俺と仕事したかった？」




ビールで乾杯して、しばらくすると、本当に心配そうにしていた浅香がすこし冗談っぽくそう言った。



『んな訳ないじゃない！誰がアンタと仕事したいの！』と普段の私ならそう返したと思う。


でも、浅香の最後の仕事かもしれないって知って、どうやら私はおかしくなっちゃったみたい。



「当たり前じゃん。
浅香が愛華ちゃんのこと指名するから...。」




気がつけばそんな言葉を口走っていた。