犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら
ヤキモチ...。
そう。私は愛華ちゃんにヤキモチを妬いてた。
東京で最後の仕事かもしれないって。商品開発の仕事が最後かもしれないって。
そんなにも気合が入った今回の案件に、自分じゃなくて、愛華ちゃんがサポーターに指名されたことに嫉妬してた。
でも、ヤキモチ妬いてたなんて言ったら。
私が浅香のことを好きだということが完全にばれてしまうし、告白してるも同然。
もし、ランチの話が本当に当たってて、浅香が関係性をはっきりさせないように濁しているのだとしたら、
私がここで頷いてしまうことで、今までの浅香の気持ちを踏みにじってしまうんじゃ...。
そう思うと、何も言えなかった。
でも、本当にこのままでいいの?
福岡に行っちゃったら、こんな風に浅香と向き合う時間はない。
後悔しない?
自分に問いつめて、浅香の顔を見た。
何かと葛藤しているように揺れ動く瞳にすごく愛しさを感じてしまう。
「浅香...」
私がそうつぶやくと同時に、
「ごめん。」
とだけ言い残して浅香は私のことをぎゅっと抱きしめた。