犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら
何に対してのごめん?
愛華ちゃんを指名したこと?
福岡転勤のことを黙ってること?
私への気持ちを誤魔化してること?
もう何が何だか、訳が分からないけど、浅香から伝わる熱にじんわりと幸せを感じる。
やっぱり好き。
浅香のことが。これでもかってくらい大好き。
私も浅香の背中に腕を回すと、彼の腕にもっと力が入ったような気がした。
「守屋...」
甘く名前を呼ばれて顔を上げると、私を愛おしそうに見つめる彼と目が合った。
どちらからともなく唇を合わせて、もっと深くと相手を求める。
今までで1番気持ちがこもっているはずなのに切ないキスに酔いしれて、このまま時間が止まればいいのにとさえ思ってしまう。
浅香の熱が私から離れたとき。寂しくて初めて自分から彼の手を握った。
そんな私にあの意地悪で余裕たっぷりの笑顔からは想像出来ないほど、優しく微笑んでぎゅっと握り返してくれる浅香。
無言でもなんとなくお互いの気持ちを確かめて、私の家までゆっくり歩いた。