犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら
「じゃ、しばらく休み貰います。すみません」
と午前中の就業時間はとっくに過ぎた15時頃に颯爽とオフィスを去っていく浅香を見送った。
やっぱり引き継ぎは半日では終わらないよね。そう思いながら、今まで浅香から引き継ぎを受けていた先輩2人とだいぶ遅めのランチに向かった。
「もりやちゃん。平気?」
少し沈んでいる私を、ずっとずっと気にかけてくれる先輩二人にはやっぱり頭が上がらない。
「はい。もう、自分の中では整理できたので。」
「強くなったね。偉い偉い。」
こんなぐちゃぐちゃな恋愛だったのに、そんな風に褒めてくれるなんて。
あたたかい先輩方の言葉が私の心にじーんと染みた。
「さ。今日は思いっきり食べよう!?」
明るく前向きに声をかけてくれた柳原さんの言葉を私の携帯の着信音が邪魔をした。
『着信 : 武部 美和』
「あ、すみません。美和から電話です
先に注文して、食べててください」
一言断りを入れて、少し席を外した。
「もしもし?どうしたの?」
『結菜!!
今から総務部来れる!??』