犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら



『輝く社員インタビュー!

今回の社員さんは、商品企画部のエース。
浅香 孝弘さんです!』


そこまで読み進めて、大きく目立つ写真に、浅香のイケメン写真が掲載されていることにやっと気がついた。



『浅香さんは、社内全体からの期待も高く、この色っぽいマスクと輝かしいオーラで女性社員からも大人気ですが…
今回、クリスマスコフレに次ぐヒット商品を目指して、春の限定コスメを企画されました。その思いについて、インタビューしていきたいと思います。』



この先、なにが語られているのか。
すごく大切なことが書かれている気がして、私は不安になって美和を見つめた。


大丈夫と声には出さなくても分かるようにうんうんと頷いた美和に背中を押されてその先を読み進めた。



『Q: 今回のリップを思いついたきっかけは?
______僕は入社してからずっと好きな女性がいるんですが。彼女は悪態をついたと思ったら、不機嫌に口を尖らせるんですよ。
そんな彼女がとても可愛くて。時に、色っぽくて。
男性はやっぱり女性の唇にはとことん弱い。
でも、魅力溢れる彼女はちっとも俺の事を男として見てくれなくて。顔のパーツの中で最強の武器である唇を俺に向けてはくれない。
だから、もっともっとその魅力的、で、魅惑的な唇で俺の事を誘惑する未来を望んで、俺はこのリップを提案しました。
.....なんて、変態チックな話ですが。このリップが商品化したあかつきには、もちろんその彼女に1番につけてもらう予定です。それまで本当に完成が楽しみです』




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