犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら



「ごめん、大事な話してる途中でほんと申し訳ねぇけど。さっきから福岡、福岡ってなに?」


「へ?」


そんな朝香の言葉に驚いて、私は浅香の方へ顔を向けた。

すると、夕日に照らされてか、今の私の言葉を聞いてか、顔を真っ赤にした浅香と目が合った。



「福岡に...転勤するんじゃないの?
みんなそう言ってたし...。」


「は?なんだそれ。お前、俺の事勝手に追い出してんじゃねーよ。」


「へ?じゃあ...」


「あぁ。転勤なんかしない。
つーか、福岡支社って立ち上げのために転勤すんだろ?商品開発部が行ってどーするんだよ」



まぁたしかに。考えてみればそうだ。
商品開発なんて、支社がしっかり立ち上がったあとの話だし、経理経営がまず第1なわけで。浅香みたいにバンバンとヒット商品生み出して会社に貢献してる人が福岡に行くなんて逆にもったいない。


なんでそんなことにも気が付かなかったんだろ...?



「つーか、お前の口からちょくちょく出てくる俺の女にだらしない発言はなんなんだよ。」



「だって!そうじゃない!
朝もいっつもギリギリで出勤してきて、それって前の日に女の人相手にしてるからでしょ!?
社内の自分の噂、知らないの??」



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