犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら
私は意を決して先ほど美和から預かったあの、原稿を手に取った。
「私だって!はっきり言ってくれなきゃ分かんない!こんな紙切れに思い綴られても!」
勢いよく右手を降ったせいで、A3の紙がピラピラと音を立てる。
なんだそれ。と最初は意味不明そうな顔をしていた浅香だけど、何かに気が付いたようで、一気にバツが悪そうにそっぽを向いた。
「.....これ。さっき美和が連絡してくれたの。浅香が福岡行く前にって。
ここに出てくる女性って.....私だって今度こそ期待してもいい?」
私がまっすぐ聞いてるのに、浅香はなんだか歯切れが悪い返事。
しまいには、
「なんで先に、社内報読むんだよ...。
武部さんにはやられたよ。」
と意気消沈した言葉が発せられた。
浅香なりには、なんか順番があったらしく、マジかー。と落ち込んでいる。
えーっと。これって...私が悪いの??
総務部は盲点だったな〜...。
なんて言いながらも、自分に自分で、まぁちょっとフライングするだけだしいいか。と言い聞かせているような様子だった。