犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら
自分の気持ちの整理がついたのか、浅香は社内報を出してから今まで、一切私に向けなかった顔を私に向けた。
夕日はどんどん沈んでいて、辺りは暗くなっているのに、浅香の顔がほんのり赤く染っていることが分かった。
「守屋。
本当は、今回の新作リップをお前の誕生日に渡して言うつもりだったんだ。
ま、それも社内報読んでんなら知ってるか...」
少し残念そうだけど、緊張しながら話してくれる浅香に愛しさが込上げる。
「俺は、入社した時から。
お前のことが...好きだ。
自分で言うのもなんだけど、俺学生時代は結構遊んでたんだ。それこそ、会社の噂通り。
だいたいの女は、俺の前ではおしとかやになって、清楚キャラになってた。
だから、お前みたいに俺に対抗してくる女には初めて出会ったんだ。
それから、なんとなく隣が気になって。
強そうに見えても案外弱いとこあるし。美人なのにそれを鼻にかけてない。
負けず嫌いで、仕事に熱心で。真面目でその中にも隙っていうか、抜けてるところもあって。
そんなお前見てると、他の女とか、どーでも良くなった。
お前しかもう見えないくらい。俺はお前のことが好きだ。」