犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら
彼の見たことのないほどの笑顔と幸せな顔を目の当たりにして、私の胸が一気にキュンと締め付けられる。
「孝弘。大好き」
そんな言葉をこの先、何回でも彼に言いたいって思った。
そんなふうにまた抱き合って、絡み合ってトロトロになった私に、彼は
「なー。結菜。
お前もう、ここに引っ越してこいよ。
会社も近いし、こっちの方が便利だろ?」
とさらっととんでもないことを言った。
私が驚いてビクッと固まっていると、なに?変な事言ったか?と何もなかったかのように私を抱きしめる手を緩め、私の顔を覗き込んだ。
「き、急すぎて、ちょっとびっくりしちゃった。
いいの?私の嫌なところいっぱい見えるわよ?
ガサツだし、気強いし、ワガママだし...
あと、それから...。」
自分の悪い所を好きな人に羅列するのはかなり切ないけど、こんなにも幸せな時間が終わっちゃったらどうしようって気持ちが先走る。
そんな私にクスッと笑って彼はぎゅーっと私を抱きしめた。
「んなの、全部知ってる。
どんだけお前のこと見てきたと思ってんの?
そーゆうとこも、全部引っ括めてお前が好きだって言ってんだよ。
もうお前と離れたくねぇんだって。毎日『おはよう』って同じ朝を迎えたい俺の気持ちがなんでお前には伝わんねぇかな。」