犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら
なんて考え込んで、特にこれといって、メイクをする意味の答えも出ないまま、
明日の仕事のことも考えて、私たちは店を出た。
「ねぇ、今日はいくらだった?」
私の家までの帰り道を2人で歩きながら私はそんなことを尋ねた。
「さぁな。女はありがとうって奢られてればいーんだよ」
なんて、すかした顔で言う浅香は毎回私との飲みで全額負担してくれている。
そんなに頻繁に飲みに行くわけじゃないけれど、積み重ねると割との額に達しているんじゃないかと私は良心が傷む。
かといって、私がお金をここでぽっと浅香に渡しても受け取らないであろう彼の性格は、この4年間の彼との付き合いで十分に理解している。
「こーゆうときだけ女の子扱いするのズルくない?まぁ、私の財布は助かってるけど…」
と私がいつも通り渋々折れると、満足そうに笑った。