犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら
適当に乾杯をして、ぐっとビールを喉に流し込む。
あー。浅香がいなきゃ、数十倍美味しいだろうに〜!!
なんて思いながらも、やっぱり金曜のビールは最高だと感じた。
「で、なんで?
なんで愛華ちゃんの誘い断ってここに来たの?」
と言った私の言葉に反応して、浅香は少し不服そうな顔を私に向けた。
「なにその感じ。
すげー邪魔なんですけど感が伝わってくるわー」
「当たり前でしょ〜!?
週末の私の楽しみを奪ってる自覚は?」
「ないね。だって、1人で飲むより誰かと飲んだ方がよくね?」
無意味な言い合いの末、訳の分からない同意を求めてきたから、
「まぁ確かに。浅香じゃなければね。」
と、返してやった。
「俺と飲みたがってる子いっぱいいるのにな」
なんて自信満々に嫌味を言ってくる浅香にはもう呆れのため息しか出てこない。
だから、愛華ちゃんのとこ行けばよかったじゃない!!
頭の中でグチグチと文句を言っていると、
「ま。俺が守屋と飲みたいんだから仕方ねぇか」
とケラケラ笑う浅香が目に入って反論する気持ちも失せてしまった。