犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら



そのまま浅香に誘導されて、マンションの駐車場まで行くと、黒いセダン車が浅香の手の中のリモコンと連動してピッと光った


服装といい、車といい、女性の好みをピンポイントにわきまえている浅香は
なんか嫌な感じだけど、
それをふとカッコいいと思ってしまう自分にもっと嫌悪感が募った。



ナチュラルに助手席のドアを開けて「どーぞ」なんてエスコートする浅香はやっぱり女慣れしてる。



その後も、膝掛けから、車の中の温度調節から、何から何まで完璧なエスコートを受けて感服していたところ、東京郊外にある大型商業施設についた。



ほら、やっぱりただの買い物じゃない。


よかった...小綺麗な格好なんてしてこなくって。


と思っているうちに、助手席側のドアが開けた浅香が「ほら、行くぞ?」と言わんばかりに手を差し出して来た。


アンタの胡散臭いエスコートなんて受けるものか。と少々意地を張って、私は差し出された手を完全無視して車から降りた。



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