犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら
だんだん自分の寂しさが悲しくなってきたところで、もう一度土曜日の自分を振り返った。
せっかくの休日くらい、意地なんて張らないで、いつもより華やかなメイクにすればよかった。
なんて今さら思っても、遅い話だ。
あの日を思い返してみると、浅香は、私の隣で終始、満足そうな笑みを浮かべていた。
“みんなが憧れる浅香さん”
“隣にいたいNo.1の浅香さん”
そんな彼の隣に1日中いた私は、傍から見ればそんな理想の彼氏を持つ、羨ましい女性に見えたのかな。
だとすれば、浅香が言ったように“とびきり素敵な女”に少しでも近づく努力をしなきゃいけなかったはず。
『結菜はさ、いつも浅香くんの隣に居るから麻痺してるんじゃない?』
そうだ。私は浅香の存在が当たり前すぎて麻痺して、ナメてた。
今になって痛いほど理解できる、美和に言われた言葉が今度は私を責めるように鮮明に聞こえたような気がした。