犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら
「え、えっと...」
浅香への気持ちもどっちつかずで、自分でもどうしたらいいのか分からない私は、意気込んだ柳原さんの言葉にしどろもどろになってしまう。
「もりやちゃんは浅香くんの隣、とられちゃっていいの!?」
困り果てて黙り込んでしまった私に、耐えかねた柳原さんがさらに言葉を続ける。
「ちょっと、美香。もりやちゃんが混乱しちゃってるじゃない!」
「だって...もどかしくって。」
柳原さんがそう言いたい気持ちもよく分かる。きっと、あやふやで曖昧な私の気持ちが全面的に伝わってしまってるんだろう
「実は、色んなことが一気に起こりすぎてて、ちょっと混乱してて...。
どうすればいいのか分からないというか、どうしたいのかも分からないというか...」
いくら弁解をしようと思っても、こんな言葉ではなんの説得力もない。
いつまで経っても埒があかなそうな私をしばらく見つめたあと、よし。と柳原さんが何かを思いついたような顔をした。